ファクタリングの言葉の意味は、他事業所が有する売掛債権を買い取って、一定の割引額で前払し、事業者は債権の回収を行い、残りを後払いする金融サービスのことです。医療事業所・介護事業所・調剤事業所がファクタリングを利用しない場合、社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会に請求してから入金されるまでに通常約2ヶ月かかります。医療介護事業所は人件費・消耗品・光熱費が1ヶ月内に電子決済で支払いするのに対して、報酬債権の入金が2ヶ月後では資金不足に陥る危険性が発生します。それに対して、証券会社・銀行・ノンバンク等の金融事業者と債権譲渡契約してファクタリングを利用することで、通常より1.5ヶ月早く売上金を回収することができ、資金繰りが大幅に改善します。
ファクタリングの流れは、1番目に報酬債権について医療介護事業所と金融事業者で債権譲渡契約を結びます。2番目に医療介護事業所と金融事業者の連名で債権譲渡通知書を社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会に通知します。3番目に金融事業者は報酬債権の内、社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会への請求額の通常8割程度から割引料をマイナスした金額を医療介護事業所へ前払いします。4番目に社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会は報酬債権の支払いを金融事業者へ行います。
5番目に金融事業者が譲渡を受けた報酬債権内、残りの2割の金額を医療介護事業所へ支払います。メリットは2つあります。1つ目は、債権譲渡は融資ではないので、また報酬債権は事実上回収が確実なので金融事業者の審査は厳しくなく、ファクタリング事業者によっては債務超過状態でも審査に通ことがあります。2つ目は、最初から金融事業者と譲渡契約を結ぶことで、新規に医療介護事業所を設立することが容易になります。