2008年のリーマンショック以降、日本経済はアベノミクスの影響などから経済環境が好転してきています。しかし、中小企業の社長は黒字経営しているにもかかわらず倒産してしまう会社をたくさんみてきました。利益が出ているのに会社がつぶれてしまう、という大きな落とし穴にはまってしまう経営者がたくさんいるのです。原因は会社の資金繰りを正確に把握できていないことと、将来のキャッシュフロー計画が不十分であることです。
通常企業は売上を計上してから、資金を回収するまでタイムラグが発生します。このタイムラグによって、会社の資金が枯渇したりあると思っていた資金が実際には未回収の状態だったということになります。最近では銀行の与信判断でも、貸借対照表や損益計算書に加えて、資金繰り表やキャッシュフロー計算書の提出を求めるケースが増えています。それは、やはりこのような黒字倒産の企業が相次いでいることと、キャッシュマネジメントのスキルがより求められるようになってきているからでしょう。
売上の未回収を売掛金と呼びますが、これを早期に資金化する仕組みも徐々に定着しています。最近では銀行の関連会社がこの仕組みを販売しており、キャッシュの運用効率を高めるようアドバイスされることも珍しくありません。何より、手元の資金の流動性が高まると企業体力が向上しさらなる事業拡大や投資がしやすくなります。売上や利益ばかりに注目するのではなく、一度資金繰り表を作成し会社のキャッシュマネジメントに注力することも極めて重要です。